続・幸せの方程式(21) 【+-ゼロ=無=光 ① 大きな不幸を背負って】  

幸せの方程式(21)

 
 
 
 
 
 
 

【+-ゼロ=無=光 ① 大きな不幸を背負って】  

 

 

僕はその時、ふと麻里奈のことを思い出した。

そして、シャンカールと対話するうちに忘れていた麻里奈への怒り、悲しみ、恨み、絶望を思い出した。

「シャンカールさんは、僕がどんなに苦しんでいるか分からない。

シャンカールさんには、僕がどんなに傷ついたか理解できない。

だから、そうやって、他人事のように淡々と話せるんですよ!

信じていたのに裏切られ、20年以上大事に大事にしてきた夢を打ち砕かれた僕の気持ちがシャンカールさんには分からない。

だから、シャンカールさんは、そんな風にシャーシャーと話せるんですよ!」

僕は、「胸の奥に突っかかっていたもの」をシャンカールに吐き出した。

シャンカールは、無表情のまま、黙っている。

僕は、感情的になり八つ当たりしてしまったことが恥ずかしくなり、シャンカールから目をそらしうつむいた。

40秒後、一息フーッと息を吐き、シャンカールは対話を再開した。

ゆっくり、一つ一つの言葉を間違えないよう細心の注意を払って…。

「確かに、ミーは、ユウの気持ちを理解できない。

言い訳するつもりはないが、ミーは、ユウと同じ経験ができない。

だから、ユウの気持ちを完全に理解することはできない。

ただ…。」

 

シャンカールは、更に、ゆっくりと話を続けた。

「ユウは、3年前、初めてミーのところに来たね。」

「はい。」

僕はうつむいたまま、蚊のなくような小さな声で返事した。

「その時、ユウは『本当の幸せを手に入れたい』と言っていたことを覚えているかい?」

「確かにそんなことを言っていたかもしれないですが…。

あの時は、調子も良かったし…。」と、僕は声を出さず、心の中だけで答えた。

 

「その時、ミーは思ったよ。

『きっと、また、ユウは、ここに来る。

とてつもなく、大きな大きな不幸を背負って…。』

とね…。」

温かく優しいシャンカールの声が、僕の気持ちを静かに柔らかに癒していった。

 

 

 

 

つづく

 

 

 


 

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